側弯症ママのドタバタフリーランス生活

中2で特発性脊柱側弯症になり20歳で手術、術後11年目。5歳の女の子のママでフリーライターをやってます。

特発性脊柱側弯症の手術をしても子どもは無事に産めるのか問題

そろそろ夏休み。
毎年この時期がくると「ああ、手術したなあ、あの時」と思い出します。

手術となると、本人はもちろん親御さんはとにかく心配や不安が募るばかりでしょう。
私は呑気な大学生でしたが、さすがに前日の夜にはベッドの上で一人静かに号泣しました。

だって、母が主治医に「手術の危険性はどのくらいですか?」と尋ねたら、
「手術が危険かそうでないかと言われれば、危険としか言いようがありません。失敗があるかと言われれば、可能性としてはあります。間違って神経に触れ、歩けなくなるなどの可能性だって否定できません。が、飛行機や車に乗ることにしたって、常に危険はつきものです。車は絶対事故がないかと言われればありますよね。それを覚悟、承知の上で乗っていると思いますが」とかすごく当たり前なこと言っていたのを思い出したから。怖かった〜。

前日の夜、絶食のためお腹減りすぎの中、「私は明日手術なんだ、もしかしたら明後日から歩けないかもしれないんだ、足、ありがとう。でも、大丈夫、きっと成功する。何事もないに決まってる」と泣きながら眠りにつきました。

手術は成功というか無事に終わり、あの涙はなんだったのか?と自分でも思うくらい、いたって普通の生活を今送っています。

さて、そんな風に主治医に脅され(?)覚悟を決めて手術を決意し、それが無事成功に終わったとしても本人や特に親御さんの不安はなくなるわけではありません。

日常生活を送るにあたって、どこか支障はないのかとか、いろいろ心配ごとはあるわけですが、年頃の特に女性の場合だと、将来の結婚や妊娠・出産にどのくらい支障があるのか、特に親御さんはそこを心配されるみたいです。(私の母も心配していました)

これについては、医師も同じことを言うと思いますが、ごく普通に妊娠、出産は可能です。私だけでなく、様々な口コミサイトや体験談などを見ても、側弯が出産に影響したなどと書かれているものは、今のところ見たことがありません。

でも、出産はなにがあるかわかりません。それが出産です。

あくまで私の場合ですが、私が出産した時は、予定日の数週間前に主治医が分娩方法を「帝王切開にするか?」と言ってきてくれました。そして、いろいろ検査した結果、普通分娩でいけそうだと判断されましたが、念の為、「力みすぎて金具に何かあると困るから、吸引で助けてやろう」とオラオラ系の主治医が言ってくれました。
当日、悲痛な叫びと徹夜明けで朦朧とする中、元気な娘が誕生しました。

分娩はそんな感じ(どんな感じ?)で無事終えられたのですが、妊娠中、特に後期は腰痛が辛かったです。椅子に長時間座っていることができず、円形クッションもダメ、かろうじてふかふかのベッドの上に座るくらいならなんとか・・・という感じでした。
後期は腰痛になりやすいと言われますが、ちょっとひどかったですね。

ただ、それが側弯の影響なのかはわかりかねます。

側弯の手術を受けたものは、誰よりも産むことに敏感だ!

とりあえず、無事に産むことはできます、だからひとまず安心して!
と書いたところで、私個人がこの問題で一番伝えたいことを書きたいと思います。

産めるか、産めないかということが大切だということはよくわかりますが、私たち女性は子どもを産むための道具ではありません。
脊柱側弯症だからと、産めるか、産めないかを聞いてくるのはやめてくれ!

ただ一つ、周囲に大きな声で言いたいことがあるとすれば、これだけです。
例えば、一番子どもの側で寄り添ってきたであろう母親が気にしてしまうのはまだ理解できる範疇ですが、時々、他人から言われることがあるのですよ、これ。

私は何度か聞かれました。

1度目は、高校時代に交際していた彼の父親から。

2度目は、大学時代の彼から。

3度目は、年上の同業者(男性)から。

 

男性が失礼だ!なんて性差別をするつもりはありませんが、実際に聞いてきたのは男性だけでしたね。女性はそのへん、敏感なのか、触れてくる人はいませんでしたし、私がかなり普通にしているので、私が手術をしたことなど友人もすっかり忘れてくれています。

こう聞かれても、普通に「できるらしい」と答えるしかないのですが、内心かなり不快です。本人としては、「できる」と医者から言われていたって、不安なものなんです。

出産が無事に乗り越えられるかどうかだけでなく、生まれてくる子どもが先天性の側弯症だったらとか、自分と同じ特発性脊柱側弯症になったら・・・とか。

不安だけを取り上げたら、今もあります。
いつも考えているわけではないけれど、ふとした時に、異常はなさそうか見てしまいます。一時期、姿勢がなんかおかしいのではないかと思えて仕方がない時期があり、手術を受けた病院へ問い合わせたり、幼児期の側弯症について調べすぎてとてもブルーな気分に陥ったこともあります。

とりあえず、今のところは大丈夫そうですが、やはり気になるものです。
きっとこの不安は一生なくならないような気がします。

我が子に発症しなくてよかったと思っても、きっと孫が生まれたら気にしてしまいそうですし、発症したらしたで、「私のせいだ」と絶対落ち込むんだろうなと簡単に想像がつきます。

これは側弯症に限らず、様々な先天性の病気や遺伝性の病気と共に生きている人たちの多くが抱えていることなのでしょうが、こういった不安感はなくなるわけじゃないんです。周りに話さなくても、本人が一番深刻に考えているはずです。

自分のせいで周りが深刻になるのが、見ていられなかったり耐えられなかったりするので、極力なんでもなさそうに振舞うだけなんですよ。

私の場合、夫へは、私が自分自身の口から症状を伝え、理解してもらいました。夫は、私が側弯症の手術をしたことを知った上で交際し結婚したのですが、彼は勝手に、子どもは持たないかもしれない、と考えていたそうです。そして、もしも出産することで私の身体に負担があるなど大きなリスクがあるのなら、子どもは諦めようと提案するつもりだったとも言っていました。

 

上で紹介したように、デリカシーのなさげな男性ももちろんいますが、そういうことは絶対に言わず、きちんと理解してくれ、産めても産めなくても、側弯症でも、丸ごと受け入れてくれる人はちゃんと存在するんだ、と、初めて知りました。

決して夫自慢をするわけではありませんが、少なくとも、あんな人たちと結ばれなくてよかったと思っています。(相手もそう思ってると思う)